サツグルメ!

札幌近郊の食べ歩き日記(炒飯、カレー、スイーツ)です。

コクって何?

僕が食べ物を食べて美味しいと感じる時、一番重要なキーワードが「コク」なんです。というより、これは僕だけではなく、多くの人が感じるのではないでしょうか。

 

でも、コクって言葉はよく使いますが、コクについてよく考えたことはなかったのですよ。自分でも、炒飯のカテゴリのひとつにしているのになぁ、と。

 

考え出したら気になってきまして、いろいろ検索するとそれを解決してくれそうな本があるじゃないですか。

 

 

 

 

 

コクと旨味の秘密 (新潮新書)

 

 

 

 

コクを学問として考えてみようという内容です。

なかなか興味深い内容でしたので、ここで簡単にご紹介させてもらいます。

 

コクってどんなものだろう

コクは食べ物を口に入れた瞬間に感じられるものではありません。砂糖の甘味や塩の味は間髪を入れず感じられますが、スープのコクなどは口に入れて一呼吸もふた呼吸も置いてからジワーッと感じられるものです。単純な味覚ではないことは明らかです。

そうなんですよね。

 

コクがあると感じる時は、瞬間的な味ではないんですよね。更に薄い味でもコクを感じるものはたくさんありますので、単純に強い味というわけでもない。この本の導入部では、「たくさん味が混じっているという感覚」という表現を最初の整理としています。曖昧な表現ですが、確かに納得できる表現です。

 

更に興味深かったのでは、ネズミもコクを感じるのだそうです。

 

ネズミは必要なエネルギーを摂取できたら食事をやめてしまうのが普通のようなのです。確かに肥満のネズミってあまり見たことありません。というか人間以外で無駄に肥えている動物って確かにいないんですよね。ペットなんかは人の手がかかっているので別でしょうが、野生動物で肥満だったら、逃げるにしても遅くなるし、狩るにしても追いつけないしでいいことなさそうです。

 

でも、コクのある食べ物をネズミに与え続けると、そんなネズミでさえ食べ過ぎて太ってしまうんだそうです。美味しいものをたくさん食べたいっていう欲求は動物にもあるんです。ペットを飼ったことがある方は当然のように知っていることだとは思いますが、人間が食べている美味しいものを犬や猫にあげると、今まで食べていたドッグフードを食べなくなる場合もあります。やっぱり、美味しいものはみんな食べたいんですね。

 

どんなものに感じるの?

例えば、僕の大好物であるカレー。

この本の中でもコクのある食べ物の代表格とされています。

 

僕はカレーが大好きなので、一時期はルーから作っていたことがあります。簡単に済まそうと思えば、肉や野菜を煮込んで、そこに市販のルーを入れればそれだけで美味しいカレーができあがるのですが、繰り返し食べているうちにそれでは物足りなくなってきて、何種類ものスパイスをブレンドしたり、水じゃなくブイヨンで作ったり、サラダ油ではなくラードを使ったり、飴色まで炒めたタマネギを大量に入れたり、隠し味に果物やチョコや生クリームを入れたり、本当にいろいろやってました。

 

ここまで手をかける理由は、コクを出すためなんですね。男性がカレーを作るといろいろこだわる人が多いのも、こういった味の深みを作り出せるからなのだと思います。

 

カレーの他にもコクを感じるものとしては、うなぎの蒲焼(特にタレ)、すき焼き、牛丼、ハンバーガーの照り焼きソース、などが挙げられていました。

 

どのように感じるの?

まずは当然、舌で感じます。

しかし、舌の先と奥では感じ方も異なります。簡単に言うと、甘みや塩味などは舌の先で速やかに感じ、旨味や油の美味しさは奥側で感じます。今まで特に考えて食べたことはなかったのですが、コクのあるスープやマグロのトロなど、深みのあるものを味わいたい時には、意識して舌の奥のほうで味わうとより強く感じることができるようです。

 

次に食感です。

この物理的な刺激、感触も美味しさを感じるのに強い影響を与えています。

 

そして、もう一つ大事なのが風味です。

風味とは匂いです。鼻をつまんだまま何かを食べると味を感じないことがありますが、これは味を感じていないのではなく、口の中から鼻に抜けていく時に感じる風味を感じていないのです。

 

僕の中では、3つ目の風味に関しての内容が目から鱗でした。風邪をひいて鼻がつまっている時には、あまり味が感じないので食事が楽しくないことがあるのですが、これは味を感じなくなっていたのでなく、風味だったんだ、と。味と匂いを勘違いしてたんだという事がはじめて分かりました。

 

もう少し具体的に考える

以下、ほぼ引用に近い内容にはなってしまいますが。

 

美味しさが2つ合わさって感じるコクがあります。

例えば、ジャムとバター、マヨネーズと醤油、などがそうです。

 

逆に、不均一な食品にも感じられます。

ハーゲンダッツのアップルパイは、アイスクリームの中に食感のはっきりしたアップルが入っています。

刺身のワサビも醤油に溶かさないで刺身に塗りつけたりします。醤油のコクを生かしながら、ワサビの風味を殺さないのです。

コーヒーに入れたミルクを完全に混ぜないで飲む人もいます。混ぜないほうがよりコクを感じるのだそうです。

 

牧場で飲むミルクを美味しいと言われています。

牧場の空気がいいということもあるのでしょうが、科学的な裏付けがあるのです。それが脂肪球の大きさです。餌の違いもありますが、脂肪球が大きいことがコクが深い理由の一つと考えられています。

 

結局、コクって?

この本では「砂糖、油、うま味」の三要素をコアーな(中心部の)コクと言っています。文中での説明を引用すると、

人間も含め動物にとって最も重要な物質と言えば生命維持に関わるものです。うま味と油脂と甘味は、それぞれアミノ酸、脂肪、糖に対応する味わいです。繰り返し述べている通り、生命維持のためのタンパク質、脂肪、糖質という三大栄養素に対応する三つなのです。偶然の一致ではありません。タンパク質合成、カロリー補給、血糖維持など生命維持のための主要条件を満たす食べ物を最もおいしいと思うのは動物の本能です。

そのコアーの周りに、第二層のコクである食感、風味があり、更には第三層には精神性まであるといいます。単に味覚だけではなく、これらが複雑に絡み合ってコクが生まれていると言うのです。

 

僕の説明では、だいぶ省略したところがあるので、結論が飛びすぎなのが否めないですが、特に、第三層のコクについては実際に本を読んでいただきたいと思います。

 

なんにせよ、こういうテーマを科学的に詳しく解説したものはめずらしいので、とても興味深く読ませて頂きました。

 

ここで説明した以外にも、栄養素からみた見解や、味のない脂がコクを与える影響などなど、いろいろおもしろい内容が書いてあります。

食べることが大好き、という方は是非一度読んでみることをオススメいたします。

 

 

 

 

 

コクと旨味の秘密 (新潮新書)